えまぃん堂小咄集~らぶれたあ~

突如として毛色の違う記事に草不可避。
こんにちは。えまいんです。

今回は、がっつり趣向を変えて、ポエムってみました。
というか、もともとこう言うの書くのスキなんですよね。うへへ。
いつ載せようかと悩んでましたが、勢いで行っちゃいます。

では、普段と全く違う記事でもオールオッケー!な方のみ、続きをどうぞ。




らぶれたあ



『あなたのことが好きです。』

『愛しています。』


今日も僕は送るわけでもない手紙を書き綴る。


『あなたが嬉しそうに笑うと、僕の心も温かくなります。』

『あなたが不機嫌そうになると、僕はあなたを笑顔に出来ないか、ひたすら考えてしまいます。』


読まれることは絶対にない手紙だ。

僕はタバコをくゆらしながら、ぼんやりと窓の外をみて嗤った。


読まれるわけがない。

僕の頭の中でひろげられた便箋に、あなたへの思いを書き殴る。


『あなたが僕と結婚してくれてよかった。』

『あなたの隣にいられるだけで、僕はとても幸せだから。』



二人で住んでいる部屋は、ひとりでいるには広くて。

窓の外には重く垂れ込めた雨雲。

もうすぐ降り出すかもしれない。


迎えにいったら、君はどんな顔をするんだろうか。

ちょっとびっくりした顔をしたあと、僕の大好きな満面の笑みをくれるんだろうか。



もう何年も君といるはずなのに、ころころ変わるその表情に、いつも僕の胸は高鳴ってしまうんだ。

ぎゅうと締め付けられるような感覚をそのまま伝えたくて、抱きしめてしまいたいけど。

我慢をして、なんでもないようにその手をとってつなぐ。


『シアワセ。アタタカイ。クルシイ。ウレシイ。…シアワセ。』


あんなにも饒舌だった僕の心は、君といると何故か語彙力がなくなって、片言で、ただ譫言のように、文字列を並べるだけになってしまう。

君は僕をのぞき込んで、遅くなっちゃったけど、と前置きしながら、はにかんで、握った手に力をすこしだけ込める。


「ただいま。」

「…おかえり。」


『イトシイ。マブシイ。スキダ、スキダ、スキ…』


叫び出しそうな勢いで、脳内の便せんは単語で埋め尽くされる。

こういうことを言うと、らしくないって言われそうだから、僕は喉元までせりあがってくる言葉を飲みこんだ。


降り出した雨の音、車のエンジン音。歩行者信号のメロディ。

色んな音の中で、我慢しきれず心から飛び出した言葉が漏れる。

それをしっかり聞き取った耳敏い君は、雨を晴らすような笑顔をみせて。

つないだ手を指を絡ませて握りなおすと、それまでより少しだけ距離が近くなる。



僕はいつまでも、君にラブレターを書き綴るだろう。

そうでもしないと、次から次へと溢れ出てきて止めることができないから。


嗚呼、本当に。心から君を。


「あいしてる。」


~小咄「らぶれたあ」了~

今日は締めもなにもないよ!唐突におわるよ!

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